JR新幹線・特急・在来線の往復割引について解説

往復割引・JR東海道新幹線米原駅運賃の割引制度

JRの新幹線・特急・在来線には往復利用する際に適用される往復割引と呼ばれるものがあります。これは一定の条件を満たすことで、行き帰りの両方の運賃が安くなる割引です。ここでは適用条件や購入方法、さらに具体例を上げて、詳しく見ていこうと思います。

往復割引の適用条件・特徴

JR線のみで行き帰りともに同じ区間を利用する必要があります。同じ区間というのは、同じ駅で乗り降りする必要があるという意味です。同じ駅であれば、行き帰りに別の移動手段を使っても問題ありません。例えば、行きは新幹線、帰りは在来線を利用しても割引は適用されます。

片道の距離が601km以上ある場合に適用されます。割引率は1割です。

・往復運賃のうち、乗車券の料金が割引になります。特急券(指定席やグリーン席にかかる料金)は割引にはなりません。

・往復切符の場合、指定席やグリーン席は関係ないので、指定席券を購入していない限り、指定の便のみ利用可能といった制限はありません。切符には有効期限があり、その有効期限内に利用することが条件です。有効期限を過ぎた場合は無効になります。有効期限は以下のようになります。

営業キロ片道有効期間往復有効期間
600kmから800kmまで5日10日
800kmから1000kmまで6日12日
1000kmから1200kmまで7日14日

1201km以上は200kmごとに片道1日、往復2日を加えて計算します。例えば片道が1250kmの場合、片道の有効期限は8日、往復の有効期限は16日になります。

利用区間はJRのみで、一部の例外を除いて、私鉄や地下鉄区間、第三セクターの鉄道をまたいでの利用はできません。一方で、JR各社をまたいでの移動、例えばJR東日本とJR北海道の区間を往復するのであれば、割引は利用できます。

往復割引は通年利用することができます。お盆や年末、ゴールデンウィークの繁栄期にも利用することができます。

往復割引は学生割引と併用して利用することができます。その場合、学生割引の2割引きと合わせて、約3割(28%)の割引になります。それ以外の割引との併用はできません。

往復割引利用の具体例

区間距離通常運賃割引運賃(差額)
山陽新幹線ひかり・こだま号東京駅⇔東海道・山陽新幹線
⇔岡山駅
*自由席を利用
732.9km33,200円
乗車券:10,670円x2
特急券:5,930円x2
31,060円(2,140円)
乗車券:9,600円x2
特急券:5,930円x2
東北・北海道新幹線東京駅⇔東北新幹線⇔八戸駅
*はやぶさ指定席を利用
631.9km33,180円
乗車券:9,790円x2
特急券:6,800円x2
31,220円(1,960円)
乗車券:8,810円x2
特急券:6,800円x2
九州新幹線つばめ・みずほ・さくら新函館北斗駅⇔東北・東海道
・山陽・九州新幹線⇔熊本駅
*東北新幹線は指定席を利用。
2,155.8km89,260円
乗車券:22,630円x2
特急券:22,000円x2
84,720円(4540円)
乗車券:20,360円x2
特急券:22,000円x2
山陽新幹線ひかり・こだま号静岡駅⇔東海道・山陽新幹線
⇔岡山駅⇔特急南風⇔高知駅
*自由席を利用。
732.0km36,980円
乗車券:11,330円x2
特急券:7,160円x2
34,700円 (2,190円)
乗車券:10190円x2
特急券:7,160円x2
JR在来線東京駅⇔JR東海道・山陽本線
⇔西明石駅
612.3km19,580円
乗車券:9,790円x2
17,620円(1,960円)
乗車券:8,810円x2
*割引された乗車券の1の位の数値は切り捨て。

往復割引は在来線だけの利用でも割引されます。ただし、在来線で長距離を乗るのであれば、青春18きっぷを利用した方が安くなることがあります。

  • 普通運賃よりも往復割引が安くなるケース

比較的有名な話ですが、利用区間によっては普通運賃よりも往復割引が安くなるケースがあります。下記の例を取り上げて説明します。

区間距離往復の運賃
山陽新幹線ひかり・こだま号東京駅⇔JR東海道・山陽新幹線⇔新神戸駅
*自由席を利用。
589.5km
28,840円
乗車券:9,460円x2
特急券:4,960円x2
*乗車券を西明石駅までにした場合。
運賃は往復割引適用後。
特急券は新神戸駅までに設定。
612.3km27,540円(1,300円)
乗車券:8,810円x2
特急券:4,960円x2
*割引された乗車券の1の位の数値は切り捨て。

東京と新神戸間を移動する場合、新神戸までは601km以下なので往復割引は適用されません。一方で、西明石駅までの場合は、601kmを超えるので往復割引が適用されます。これをうまく利用して、新神戸駅までの移動でも乗車券のみ西明石駅までの切符を購入することで、往復割引を適用し料金を安くすることができます。上記の例では1,300円安くなります。これは、新神戸から市営地下鉄を利用し、三ノ宮駅または三ノ宮以西の駅で乗降する場合にも適用されます。三ノ宮駅以東で乗降する場合には適用されないので注意が必要です。

往復割引切符の購入方法・変更・キャンセル方法

購入方法

割引切符はみどりの窓口、またはインターネットで購入できます。インターネットの場合、JR東日本の「えきねっと」や、JR西日本の「e5489」、JR東海の「エクスプレス」などで購入できます。基本的にそれぞれのウェブサイトで、他のエリアの区間の切符も購入できます。例えば、e5489でJR西日本以外の区間の往復切符の購入も可能です。これは東海道・山陽新幹線や九州新幹線、北陸新幹線などが他のJRのエリアを乗り継いでるのが理由です。ただし、一部購入できない区間もあるので注意が必要です。例えば、e5489ではJR東北新幹線の那須塩原以北の区間を含む切符は購入できません。

キャンセル方法

往復切符は片方(行きか帰り一方)が未使用で、有効期限内であればキャンセルが可能です。手数料が220円かかります。払い戻し額は、往復の割引された運賃から上記手数料と割引額を差し引いた額になります。

払い戻し額の例:正規運賃36,000円(1割引きで32,400円)の切符をキャンセルする場合

*払い戻される金額=購入した金額-割引額-手数料  32,400-3,380-220=28,800円

*実質的にキャンセル料金として3,600円支払う形になる。

往復切符は、行き帰りの2ルートがあるので、いずれもキャンセルする場合、片道のみキャンセルする場合の2パターンがあります。後者のパターンについて深堀してみていきます。

  • 片道のみをキャンセルする場合

この場合多くのケースでは、行きはすでに利用済みで、帰りのみ未使用というケースが当てはまると思います。帰りの分のみキャンセルが可能で、その場合、帰りにかかる運賃(割引後)と割引額、上記手数料を差し引いた額が払い戻しされます。

払い戻し額の例:正規運賃36,000円(1割引きで32,400円)の切符の帰りの切符をキャンセルする場合

*払い戻される金額=帰りの切符の金額-割引額-手数料  16,200-1,690-220=14,290円

*実質的にキャンセル料金として1,910円支払う形になる。

切符の変更

切符が未使用の状態であれば区間の変更などが可能です。行きが使用済みの場合、帰りの切符の変更はできず、一度キャンセルして再度切符を購入する形になります。この場合、新たに片道切符を買い直す形になるので、割引は適用されず、正規運賃での購入になります。帰りの未使用の区間の料金は、一部払い戻しがされますが、全額が返金されないことを考えると、往復割引切符よりも割高になります。

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