JR各社の株主優待券の特徴・メリットとは?

JR株主優待券格安切符

株主優待券とは、JR各社の株を一定数所有している株主に向けて送られるものです。この優待券は切符購入時に利用することができ、乗車券と特急券の両方を大幅に割引いた料金で購入できるものです。ここでは株主優待券について詳しく解説していきます。

優待券でいくら安くなるのか?

割引は各JR会社によって異なります。ここでは、具体例を上げていくら安くなるのか?見ていきます。

区間通常の運賃優待券を使用した場合
<差額>
割引率・特典
JR九州九州新幹線つばめ・みずほ・さくら博多⇔九州新幹線
(自由席)⇔熊本
4,700円2,530円(注)在来線乗り放題(注)
JR西日本山陽新幹線ひかり・こだま号岡山⇔山陽新幹線
(グリーン車)
⇔新山口
13,290円6,640円<6,650円>50%割引
JR東海山陽新幹線ひかり・こだま号新大阪⇔東海道新幹線
(自由席)⇔新横浜
12,650円11,380円<1,270円>10%割引
JR東日本東北・北海道新幹線東京⇔東北新幹線
(指定席)⇔八戸
16,790円10,070円<6,720円>40%割引
*1の位はすべて切り捨て。

JR東海は10%の割引とそれほど高くありません。しかし、それ以外は大幅に運賃が安くなっているのがわかると思います。特にJR西日本の50%割引、JR東日本の40%というのは非常に魅力的です。この割引は自由席だけでなく、指定席、グリーン車にも適用できます。もちろん、特急列車や在来線でも同様に割引が受けられます。ただし、グランクラス席と寝台席に関しては利用できず、それらを利用する場合、乗車券のみが割引される形になります。

(注):JR九州の割引制度は少し特殊で、優待券を利用することで、1日利用乗車券が発行されます。これによって、JR九州管轄の路線(在来線)すべてが乗り放題になります。ただし、特急と新幹線を利用する場合は、別に特急券を発行する必要があります。そのため、上記の価格は特急券のみを表示しています。実質的には50%程度安くなっているので、安い料金で利用できるという点は変わりありません。

優待券は切符ではない。優待券を利用して切符を購入する。

勘違いしないでほしいのは、優待券が切符になるわけではありません。優待券を利用して、みどりの窓口、発券機もしくはオンラインで割引切符を購入する必要があります。優待券自体は、有効期限が1年なので、その期間に使用すればよく、早割切符などとは異なり、事前購入などの必要や切符に対しての変更、キャンセルの厳しい制約はありません。唯一の制約としては、他の割引(学生割引や往復割引など)と併用して利用することができない点があげられます。

株主優待券を受け取るための条件

優待券を受け取るには、JR各社の株を一定数、また一定期間保有する必要があります。この条件を満たすと、年度末の3月31日に、最終の株主名簿に記録された株主に対して優待券が送られます。この条件は、JR各社ごとに異なり、以下のようになります。

条件備考
JR九州最低100株以上保有、100株ごとに1枚の優待券。500株以上保有で追加発行あり。JRグループで利用できる優待券、高速船優待券も配布。
JR西日本最低100株以上保有、100株ごとに
1枚の優待券。3年以上保有で追加発行あり。100株以上を3年継続保有している場合は、追加発行あり。
JR線ほか、特定の施設、ホテル、百貨店、ツアー、レンタカーでも利用可能な優待券も配布。
JR東海最低500株以上保有、500株ごとに1枚の優待券。JR東海ツアーズでも利用可能。
JR東日本最低300株以上保有、300株ごとに1枚の優待券。100株以上を2年継続で保有している場合は、追加で発行あり。JR線ほか、特定の施設、ホテル、百貨店、ツアー、レンタカーでも利用可能な優待券も配布。

JR四国、JR北海道には、株主優待券はありません。

いずれも一定数の株を保有している必要があり、株を購入できるだけの資金保有している必要があります。例えば、2024年8月のJR九州の株価は約3500円です。100株を購入するには35万円が必要になります。つまり、割引率が高いとはいえ、株を保有しない普通の人には、縁のないものと言えます。

金券ショップで優待割引券を購入する

株を保有する以外でも株主優待券を利用する方法はあります。それは金券ショップで優待券を購入することです。これによって、株保有者と同じ割引を受けることができます。優待券は金券ショップ、もしくはネットオークションでも販売しており、1,000円~4,000円程度で購入できます。価格は店によって差があります。金券ショップについては、こちらでも詳しく解説しています。下記は具体例になります。

区間通常の運賃株主優待券+割引使用後の切符
(差額)
備考
山陽新幹線ひかり・こだま号岡山⇔山陽新幹線
(グリーン車)
⇔新山口
13,290円優待券:~4,000円~
割引後の切符:6,640円
合計:10,640円(2,650円)
JR西日本の優待券で
50%割引
東北・北海道新幹線東京⇔東北新幹線
(指定席)⇔八戸
16,790円優待券:~2,950円~
割引後の切符:10,070円
合計:13,020円(3,770円)
JR東日本の優待券で
40%割引
*料金は自由席の切符。1の位はすべて切り捨て。

優待券の価格と切符を合わせると、全体の割引率は下がる。

金券ショップの株主優待券で注意すべき点は、割引率が高くても、優待券の購入価格をプラスすると全体の割引率が低くなる点です。例えば、上記のJR西日本の場合、50%の割引率(6,650円割引)でも、切符の価格と合わせると差額は2,650円、20%の割引率になります。また、JR東日本の場合も同様で、40%の割引から20%に近い割引率になります。この点は優待券の価格により左右されます。

・優待券の方がかえって高くなる場合

もう1つ注意すべき点は、優待券を利用することで、安くなるどころかトータルでは高くなるケースがある点です。具体的にどのようなケースがあるのか見ていきます。

区間通常運賃株主優待券+割引使用後の切符
(差額)
備考
九州新幹線つばめ・みずほ・さくら博多駅⇔九州新幹線
⇔熊本駅
4,700円優待券:~2,800円~
自由席特急券:2,530円
合計:5,330円(-630円)
JR九州の優待券で
在来線乗り放題
*料金は自由席の料金。1の位はすべて切り捨て。

このケースの場合、鉄道運賃自体が乗り放題で安くなったとしても、優待券購入にお金がかかるため、トータルでは通常運賃よりも630円高くなっています。優待券は、株を購入している人が受け取れるものであって、本来購入して手に入れるものではないため、このようなことが起きます。この場合、優待券が2.170円以下でなければ通常運賃よりもやすくなりません。同様のケースは、割引率の低いJR東海でも起き、特に短距離の利用で割高になるケースが見られます。

複数のJR会社をまたぐ場合、優待券は利用できない

株主優待券では注意すべき点があります。それは、JR各会社それぞれが優待券を発行しているため、他のJRの会社をまたいで利用することができない点です。例えば、JR東日本の優待券を使用して、東京から金沢までの割引切符を購入することはできません。上越妙高駅より西側はJR西日本の管轄になるからです。この場合、上越妙高駅までを優待券を使用した割引切符、以西を通常の切符、もしくはJR西日本の優待券を使用する必要があります。具体例を下記に上げます。

長野新幹線あさま東京駅⇔北陸新幹線⇔金沢駅
通常の運賃13,850円
JR東日本の優待券のみ利用5,340円+5,720円
=11,060円(2,790円)
JR西日本の優待券のみ利用8,910円+2,860円
11,770円(2,080円)
両方の優待券を利用5,340円+2,860円
8,200円(5,650円)
*料金は自由席の料金を表示。1の位はすべて切り捨て。

いずれの場合でも通常の運賃より安くなりますが、割引率は低くなります。両方の優待券を利用した場合はその限りではありません。ただし、優待券を金券ショップで購入した場合、その分の価格が上乗せされます。優待券が2,000~4,000円程度と考えると、通常運賃とほぼ変わらないか、もしくは割高になり、優待券を利用する意味がなくなってしまいます。

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