JRの新幹線・特急・在来線には、学生のための割引制度(学割)が存在します。学生割引(学割)は、普通運賃よりも安い料金でJRの鉄道を利用できます。下記では学生割引の特徴・利用方法などを解説していきます。
JRの学生割引の特徴・利用方法
・JRから指定を受けた中学・高校・大学・専修・各種学校の学生・生徒がJRの鉄道を利用する場合に利用できます。年齢は満12歳以上、上限に制限はありません。ただし、非正規生の外国人留学生、聴講生、委託生および研究生は、対象になりません。
・片道の利用距離が101kmを超える場合に利用できます。割引率は2割です。
・基本的にJR線のみで、私鉄や地下鉄区間、第三セクターの鉄道をまたいでの利用はできません。一方で、JR各社をまたいでの移動、例えばJR西日本とJR東日本の区間を利用する場合、割引は利用できます。
・利用時期に制限はありません。お盆やゴールデンウィーク、年末時期でも利用できます。
・学割を利用する場合、「学校学生生徒旅客運賃割引証」を掲示して切符を購入する必要があります。これは「学生証」だけでは駄目で、切符購入前に、あらかじめ学校で上記証明を発行しておく必要があります。なお、同時に「学生証」を携帯しておく必要もあります。
・本人以外の方が「学校学生生徒旅客運賃割引証」を掲示して切符を購入できます。つまり、自分の両親に割引証を渡して、購入を頼むといったことができます。
・新幹線や特急を利用する場合、割引されるのは乗車券のみで特急券・グリーン券・寝台券は割引されません。これは往復割引と同じです。
・基本的に窓口での購入になるので、インターネットでの購入はできません。
・この割引は往復割引と併用することが可能です。ただし、他の各種割引との併用はできません。詳細はこちらで解説しています。
学生割引の具体例
区間 | 距離 | 通常運賃 | 割引運賃(差額) | |
名古屋駅→東海道新幹線→新大阪駅 *自由席を利用 | 186.6km | 5,940円 乗車券:3,410円 特急券:2,530円 | 5,250円(690円) 乗車券:2,720円 特急券:2,530円 | |
京都駅→特急サンダーバード→ 敦賀→北陸新幹線→上越妙高駅 *特急は指定席、新幹線は自由席を利用 | 387.8km | 11,860円 乗車券:6,600円 特急券:5,260円 | 10,540円(1,320円) 乗車券:5,280円 特急券:5,260円 | |
沼津駅→JR東海道線→浜松駅 | 130.9km | 乗車券:2,390円 | 乗車券:1,910円 (480円) |
学生割引は在来線だけの利用でも、101kmを超えていれば利用できます。101km以下の場合は、特急や新幹線でも割引されないので注意が必要です。
学生割引切符の変更・キャンセル方法
- 変更方法
変更方法には、切符の使用前と使用後の2つのケースが分けられます
使用前の場合は、1回に限り点数料なしで変更が可能です。2回目以降は手数料220円を支払う必要があります。使用後でも変更は可能ですが、変更する区間において、運賃の不足分が発生する場合は、不足分を割引なしの普通運賃として、支払う必要があります。例えば、もともと降車する駅Aよりも先の駅Bで降りる場合、その分の運賃(AB間の運賃)が発生しますが、AB間の運賃には、割引が適用されない普通運賃を追加で支払う必要があります。手前の駅で降りる場合は、追加の料金は発生しませんが、その分の払い戻しはありません。
往復切符を利用している場合は、往復割引のルールに従います。
・キャンセル方法(払い戻し)
キャンセルは可能です。払い戻しに関しては、使用前と使用後で異なります。使用前の場合は、2回名以降は、手数料220円を差し引いた額が支払われます。使用後の場合、乗車しない区間の移動距離が100kmを超えている場合のみ払い戻しが行われます。これも2回目以降は、手数料を差し引いた額が支払われます。これは往復切符を利用している場合にも適用されます。
なお、変更とキャンセルいずれの場合でも、使用した学生割引証の返還はされません。
往復割引と学生割引の並行
往復割引と学生割引は、合わせて利用できます。この場合、往復割引の適用条件である片道601km以上の条件を満たしている必要があります。割引率は28%です。乗車券のみ割引されます。この場合、みどりの窓口で「学校学生生徒旅客運賃割引証」を掲示して購入する必要があります。オンラインでの購入はできません。
区間 | 距離 | 普通運賃 | 割引運賃 | |
東京駅⇔東北新幹線⇔新青森駅 *指定席を利用 | 713.7km | 35,340円 乗車券:10,340円x2 特急券:7,330円x2 | 29,540円(5,800円) 7,440円x2 7,330円x2 |
これは往復割引において、普通運賃よりも往復割引が安くなるケースにも適用できます。つまり、往復割引で安く移動するために、601km未満であっても601km以上先の駅までの往復切符を、学割と往復割引を併用して購入できるということです。例を上げると以下になります。
区間 | 距離 | 普通運賃 | |
東京駅⇔JR東海道・山陽新幹線⇔新神戸駅 *自由席を利用 | 589.5km | 28,840円 乗車券:9,460円x2 特急券:4,960円x2 | |
*乗車券を西明石駅までにした場合 往復割引のみ適用の場合 | 612.3km | 27,540円(1,300円) 乗車券:8,810円x2 特急券:4,960円x2 | |
*乗車券を西明石駅までにした場合 運賃は往復・学生割引適用後 特急券は新神戸駅までに設定 | 23,540円(5,300円) 乗車券:6,810円x2 特急券:4,960円x2 |